6そこで、その矛盾に対し1965年に発表された“ゲートコントロール学説”を紹介しています。 これは簡単に言うと、 「痛みの伝達路である脊髄に、痛みをコントロールするゲートがあり、 門番役の神経細胞がゲートを開いたり閉じたりして痛みの伝達を調整している」 という物で 具体的には、触覚・圧覚・振動覚等の「無害な感覚」は、 ゲートを閉じる事で、痛みとして脳に伝えず。 一方、「有害な侵害刺激」は、ゲートを開く事で、脳に伝え、 痛覚はゲートの開け閉めで感じ方や強さがコントロールされていると言うものです。 例えば 「ガツンと頭を何処かに打ちつけ、 思わずそこに手が伸び“擦った”経験は誰にも有ると思います。 “ガツン”と言う痛みは有害な刺激なので、 即座に“ゲートは開き”痛みとして脳に伝わります。 次の“擦る“刺激は、無害の刺激なので、 擦れば擦るほど“ゲートは閉じられ”“ガツン”とした痛みも伝わらなくなります。 また、 「ゲートの開閉には中枢からもコントロールを受けているので、 末梢神経からのインパルス(神経線維の中を伝わる活動電位)が そのままストレートに大脳に伝達されるだけではなく、 意識や注意の集中、過去の記憶や条件付け、情動などによっても、 ゲートの調整が行われている」としています。 それらの事から 「痛みとは、危険を探知する為の原始的な感覚で有ると同時に、 当人の心理的状態の影響を何がしか受けたもので、 痛みという現象は、 「身体的要因」と、「心理社会的要因」 という二つの要因が混在した“精神身体領域の問題”で有ると考えられる」 としています。 |